セトウツミという此元和津也(このもと かづや)さんの漫画を声劇台本に書き起こしてみたものです。
興味があったら、買ってみてくださいませませ。
///////////登場人物//////////////////////////
瀬戸小吉(せと しょうきち)♂
高校2年生の男子
内海想(うつみ そう)♂
高校2年生の男子、眼鏡君。
鳴山(なるやま)♂
高校3年の男子
おじさん ♂
中年のおじさん。
鳴山とおじさんは被りでもいけます!
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瀬戸;
内海:
鳴山:
おじさん:
/////////////本編、タイトル マジ雲は必ず雨//////////////////
瀬戸「はー、明日からのテスト嫌やなぁ」
内海「暑いしなぁ」
瀬戸「長っ!このポテト長ない?」
内海「・・・・」
瀬戸「こんなジャガイモあるか?」
内海「あるやろ別に」
瀬戸「それにしてもあっついなあ」
内海「俺もうすぐ塾行かな」
瀬戸「大変やなぁ、まだ高2なのに」
内海「お前はええな、大学行けへんねやろ?」
瀬戸「行けへんゆうか」
内海「行かれへんのか」
瀬戸「お前のそういうとこやで」
内海「何が」
瀬戸「うっすら人を見下してるというか・・・。全員アホに見えてんねやろ?お前からしたら」
内海「自覚症状はないけどな」
瀬戸「いや他覚症状が半端ないねん」
瀬戸「こないだも鳴山に言われたやろ」
鳴山「お前の顔がムカつくねん」
内海「顔のこと言われてもこまるわ」
瀬戸「顔に出てもうてんねん、お前が人を小馬鹿にしてるのが」
内海「そうなんかなぁ」
瀬戸「ちょっと笑てるやん」
内海「笑てへんて、元々こんな顔や」
瀬戸「ちょっと神妙な面持ちやってみ」
内海「・・・・・・」
瀬戸「笑てるやん!」
内海「ほなお前やってみいや」
瀬戸「・・・・・・」
内海「一緒やないか」
瀬戸「いきなし神妙な面持ちせぇゆうても無理やろ」
内海「お前が言い出したんやろ」
瀬戸「ほな俺がお前に深刻な話するわ、それで神妙な面持ちしてくれや」
内海「ええよ」
瀬戸「家で飼ってる猫のミーニャンが、急に具合悪くなってな、医者に聞いたら余命後わずかやから、好きなもん食べさせてあげていわれて」
瀬戸「そっからオカンがはりきって海外から高いキャットフード取り寄せたり、俺よりええもん食わしたりしてて」
瀬戸「親父も難色示してたけど最後やからしゃあない言うてて・・・」
瀬戸「でも結局そっから二年以上生きてな、それがきっかけで・・・」
瀬戸「今度うちの親、離婚すんねん」
内海「・・・・・・」
瀬戸「さっきより笑みこぼれてもうてるやん!」
内海「結末が意外すぎんねん、てっきり猫死んだ話や思うやん」
瀬戸「まあ・・・。ほんまの話やけどな、これ」
瀬戸「・・・・・・」
内海「・・・・・・」
瀬戸「ああ暑いなぁ」
内海「塾行きたないわぁ」
瀬戸「ところで、あのおっさん、さっきからずっとあそこにおるな」
瀬戸「なんか犯罪の匂いがするな、どんな顔か見てきてーや」
内海「指名手配犯やったらどうする?」
瀬戸「バレへんように自然にな」
内海「まあ、普通にどこでもおるおっさんや」
瀬戸「何歳ぐらい?」
内海「・・・30代から50代くらいかな」
瀬戸「なんやその白骨死体ばりの年齢の幅」
内海「あれぐらいのおっさんの年齢って、まったく想像つけへんわ」
瀬戸「俺らもいつかああなるんやで」
内海「それが連続してるとは思われへんねんな・・・別の生き物みたいや」
瀬戸「確かに子供の頃と、今の俺とおんなじって感じせえへんわ」
瀬戸「身長が百センチの時ってどんな感じだったんやろ」
内海「俺お前に身長抜かれたんちゃう?・・・ちょっと立って」
瀬戸「・・・・・・」
瀬戸「そうか?伸びたかなぁ」
内海「一年の時は楽勝やったのになぁ」
瀬戸「誰が見んねん」
内海「あのおっさんに頼む?」
瀬戸「無理やろ」
内海「何の話やった?ああそう子供の頃な」
瀬戸「子供の頃って、楽しかったなぁ。小学校ん時が一番楽しかったわ」
瀬戸「夏祭りもクリスマスも昔はあんなに楽しかったのに、年々あれ?こんなんやったっけ?と思うねん」
瀬戸「ほいでもうあの時の楽しさを、一生越えることはないんちゃうかと思ったらめっちゃこわない?」
内海「そうか?大人になったら大人の楽しさがあるんちゃう?」
瀬戸「あぁ怖い怖い!老いて病んで小学生の頃の楽しさを超えられへんまま死ぬのが怖い!!」
内海「嫌なこと忘れてるだけやって、小学生は小学生でつらいこといっぱいあったぞ?何より不自由やったやろ」
瀬戸「でもうっとうしい先輩とかおらんかったやろ?鳴山みたいな」
内海「おったけど、鳴山みたいに問答無用の暴力で支配しようとするのはなかったな」
瀬戸「来年鳴山卒業や思たらうれしいわー」
内海「卒業したら何やんねやろ?」
瀬戸「ろくなもんになれへんやろ」
内海「いや意外とああいうのが、大人になっても成功するんやと思うで」
瀬戸「確かにそんなんよう聞くな、でもなんでやろ」
内海「やっぱ自信ちゃう?」
瀬戸「ほう」
内海「学生時代に天下を獲ったという、強烈な成功体験があるし」
瀬戸「ほう!」
内海「あいつら特有のネットワークで人脈という点では色々有利やろうし」
瀬戸「ほうほう!」
内海「そんなもっと大きいのよこせみたいな、相づちされても」
瀬戸「でもそれって、俺みたいな中途半端な人間は、一生中途半端って言われてるみたいで切ないな」
内海「俺もそんなんや、歓喜に至るほどの成功体験なんかないよ」
瀬戸「・・・・・・」
内海「・・・・・・」
瀬戸「こないだ親知らず抜いてん」
内海「・・・え?」
瀬戸「いや・・・こないだ親知らず抜いたって・・・」
内海「二度聞き史上一番しょうもなかったわ」
瀬戸「・・・・・・」
内海「普通ああいう時って、なんかええ事言うてんちゃうの?」
瀬戸「いやもうやめて、なんか恥ずかしいから・・・あ!!」
瀬戸「樫村さんや・・・可愛いー」
内海「樫村さんて、お寺の子なんやろ?」
瀬戸「袈裟姿(けさすがた)見たいわー、彼氏おるんかな」
内海「どうやろ」
瀬戸「訊いてきてくれへん?」
内海「嫌やそんなん」
瀬戸「頼むわバナナあげるから」
内海「なんでバナナでいける思たん?」
瀬戸「俺、樫村さんに好かれよう思て、仏教の勉強してんねん」
内海「どんなワード知ってるん?」
瀬戸「煩悩とか」
内海「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)とか?」
瀬戸「・・・輪廻とか」
内海「一切皆苦(いっさいかいく)とか?」
瀬戸「さっきから俺の知識量をはるかに上回っとんねん」
内海「・・・・・・」
瀬戸「ことごとく」
内海「塾サボったろかな」
瀬戸「親うるさいんちゃうん?」
内海「そうやねん、遊ぶにしても塾の子と遊べ言うねん」
瀬戸「・・・相乗効果ってことちゃう?」
内海「あーシナジー効果ってやつか」
瀬戸「・・・・・・」
内海「腹減ったなぁ」
瀬戸「さっきハンバーガー買おう言うたら、いらん言うたやん」
内海「俺白ご飯のほうが好きやねん」
瀬戸「あーライスってやつな」
内海「・・・・・・」
瀬戸「・・・・・・」
内海「さっきのシナジー効果でイラッときたん?ほんで一矢報いたかったん?」
瀬戸「・・・・・・」
内海「ライスて」
瀬戸「お前やっぱり俺のこと見下してるやろ?なあ、アホや思うてんねんやろ」
内海「・・・・・・」
瀬戸「なんでまた神妙な面持ちやねん」
内海「もう一回できるかなと思って」
瀬戸「!?鳴山や!」
内海「マジ!?」
瀬戸「ちゃんと挨拶せえよ」
瀬戸・内海「・・・こんにちは」
鳴山「・・・・・・」
おじさん「お・・・おお」
おじさん「だいぶ背伸びたんちゃうか?」
鳴山「・・・そうかな」
おじさん「お母さん元気か?」
鳴山「うん」
おじさん「これ・・・お母さんに渡しとってくれ」
鳴山「・・・・・・」
おじさん「使うなよ?」
鳴山「わかってるよ」
おじさん「18歳の誕生日までって約束やからな、今月で最後になるけど・・・」
おじさん「でも、困った事があったらなんでも言うてええから」
鳴山「父さん」
おじさん「なんや」
鳴山「今までありがとう」
瀬戸・内海「・・・・・・」
瀬戸「はーー。明日からのテスト嫌やなあ」
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関西の言葉って、なんか、癖になりますよねw
さて、ちなみに、作者様との接点はなにもございません;
面白かったし、人数比率的にも、台本にしやすかったので、勝手に台本にしてしまいました・・・。
この場を借りて、御礼と謝罪申し上げます。