タイトル 〜恋愛小説家 〜想い人〜 

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読む人にもよると思いますが、、大体26分くらいです。
Nの部分はMでもあるので、感情をこめてもらってかまいませんよ〜^^


登場人物

純(じゅん)♂

主人公、成績優秀スポーツ万能で好青年。
愛の幼馴染、勿論のこと人気があり良く告白もされるのだが、好きな奴がいるから、と、いつも断っている。


愛(まな)♀

ヒロイン、地味で大人しく目立たないが優しい娘。
幼馴染の純とは今でも仲が良く、クラスメイトには付合っていると思われている。


だけど、純も愛もお互いに告白を交わしたわけでもないため、そのことに触れられると、愛は曖昧(あいまい)な返事しかできないでいる・・・・。
純に負けず劣らず男子から人気があるのだが、本人は殆ど気がついていない。

心(こころ)♀

愛と仲の良い少女、大人しい愛とは違い、元気があり明るい。

何度も愛にあんたは女のあたしから見てもかわいいし家庭的だし、お嫁さんにしたいくらいなんだから!さっさと告っちゃえ!と、かまをかけたりしているが、なかなか進展しない二人にやきもきしながらも、微笑ましくも思っている。
(最後の数10年後から後のセリフは、おばーさんとかの年老いた感じの声ができそうでしたら、お願いします)

叶(かなえ)♂

途中心のセリフが多くなったため、その潤滑剤として名前だけの登場のはずでしたが、急遽参戦してもらうことになりました。
セリフもあまり多くないので、主人公と被りでもOKかと思います。 が、一応、純と絡むので、なるべくなら別人のがいいかもです。

心の担任の先生、物静かで優しい先生だが、意外と勘が鋭く、つかみどころが無い。

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愛N
ここは学校の屋上、普通は鍵をかけられているのだけれど、この学校はフェンスも高いし、こうやって解放されている。

愛 「ん〜っ・・・いい天気」

愛N
  ベンチもあるから、そこに座って、一緒にお弁当を食べる約束をした心をまっていた。

心 「おまったせ〜!」

愛N
少しして心がやってきて、二人でお弁当を広げる。 いつもこうやって一緒に食べている・・・・純くんも一緒に誘えたらって思うんだけど・・・・。

心 「えい!卵焼きいただき!」

愛N 心は私の後ろに回り込むなり、いきなりお弁当箱の卵焼きを持っていく。

愛 「あっ!・・・もう、心ってば、欲しいなら言えばあげるのに」

心 「mgmg(もぐもぐ)・・・・。こうゆーのが面白いんだって!愛の驚いた顔みれるし!」

心 「ふんわりして美味しい卵焼き、愛みたいだね」

愛 「ふふ、も〜う、また心はそんなこと言って、、あ、よかったらもう一個なにか食べる?」

心 「あ、じゃあ、そのたこさんウインナーを!・・・・・・で、もう告白、した?」

愛 「え、あ・・・・」

愛 「ううん、まだ」

心 「もうっ!愛、まだなにも言ってないの?」

愛 「うん・・・・」


「はぁ、あのね!愛は女の私からみたって、可愛いし、料理だって美味しいし、家庭的だし、お嫁さんにしたいくらいなんだから!もう、ズバっと告っちゃえ!」

愛 「うん、でも、、なかなか言い出せなくって」

心 「もう、しょうがないなぁ・・・・お弁当一緒に食べよう、とかでもいいじゃん?」

愛 「・・・・うん」

心 「あいつも、愛の事、好きだと思うし、、両想いなのに」

愛 「えっ!?・・・・そ、そんなこと、ないよ」

心 「あいつ、誰に告白されても、好きなやついるからって、断ってるってよ」

愛 「他に、好きな、人・・・・?」

心 「そ!それって、愛の事だと思うけどなぁ〜」

心 「あいつも、愛は俺のものだ!くらい言えば良いのに」

愛 「はぅ!」

心 「・・・・どしたの?かわいい声だして」

愛 「だって、、純くんにそんなこと言われたら、、嬉しくて、、倒れちゃいそう」

心 「はぁ・・・・だったら、なおさら、はやく告白しちゃいなってば」

愛 「・・・・・・」

心 「ははは、もう、ダメだなぁ〜愛くんは〜」

心N
はぁ・・・・愛も愛だけど、あの男も男ならビシーッと言えばいいのに、見てて歯がゆいわい。
でも、こんなのも悪くはない、かなぁ〜、青春、青春。


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純 「おっし!」

愛N 純くんが、ゴールを決めてガッツポーズをする、素直に、かっこいいなぁって思う。

純 「よし、つぎもこの調子でいくぞ!みんな!」

愛N
純くんはスポーツもできて、頭もいい、わたしの自慢の幼馴染・・・・。
はっきりとは言えないけど、わたしは彼のことが好き。


心 「おー、ここにいたのかぁ、愛」

愛 「あ、心」

心 「なになに?愛しの恋人くんのファインプレー見れて、嬉しそうじゃん」

愛 「も、もう、そう言うのじゃないよぉ〜」

心 「またまた〜、学校中の噂だよ、あんたらが付き合ってるの」

愛 「付き合ってるわけじゃ、ないよ・・・・」

心 「ふ〜ん」

心 「ねぇ愛。愛って男子からけっこー人気あるって知ってた?」

愛 「えっ!?」

心N
愛は驚いているみたいだけど、本当のことなんだよねぇ〜。
男子は意外と律儀なのか、純くんと付き合ってると思っているから、愛に告白はしてこないけど・・・・。


心 「ほら、部活、終わったみたいだよ」

愛 「え、あ、、うん、、そう、みたいだね・・・・」

愛N 部活が終わって、純くんが終了の声をかける。

純 「みんな、おつかれ〜!」

心N
だけど、女子の方は違くて、純くん、、まぁ、彼の方は稀によく告白されているらしい。
女は怖い怖いっ、てね・・・・。
はぁ、愛もそのくらいの積極性とまでは言わないまでも、もう少し、ねぇ・・・・。


心 「ほらほら、恋愛ゲームみたく、一緒に帰ろう、とか言ってみれば?」

愛 「え、あ、で、でも・・・・」

愛 「あ・・・・」

愛N そんな会話をしていたら、部活の人たちが帰る中、純くんと目があう。

純 「愛、見ててくれたのか?」

愛 「あ、うん・・・・かっこ、よかったよ」

純 「そうか?ありがとな」

愛 「あ・・・う、うん」

純 「・・・・・・あ、、あのさ」

愛 「な、なに?純くん」

純 「あー・・・・」

愛 「ん・・・・」

心N
それから二人は俯いたまま、しばらくだんまり・・・・・・。もう、ここは私が一肌脱ごうじゃない!

心 「ねー、純くん、この後、暇?暇だよね?」

純 「え、あ、、あぁ、暇だけど」

心 「スポーツして疲れたっしょ?3人でなにか甘い物でも食べに行かない?」

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心N そんなこんなで、甘味屋 〜天夏(あまなつ)〜 に向かうことにした。

心N
天夏は私のおすすめのお店・・・・。で、私たちは案内された席に座り、お品書(しながき)を見ている。

愛N 心が気を利かせてくれたの、嬉しいけど・・・・どうしようドキドキする。

純 「んっと、みんなは何食べるか決まった?」

心 「うーん、あたしは、、そうだなぁ・・・・よし!これにしよう!愛は?」

愛 「あっ!、ご、ごめんね、、え、えっとぉ・・・・これにしようかな」

心 「んじゃ、みんな決まったね!・・・・店員さ〜ん!注文お願いしま〜す!」

愛N
心が店員さんを呼ぶ。心は白玉抹茶クリームあんみつ、私は和風パフェ、純くんがあんずクリーム、をそれぞれ頼む。

心 「ここはか〜な〜り、おすすめのお店なんだ」

愛 「そう、なんだ」

純 「へぇ〜、それは楽しみだな」

心 「男の子って、あんまり甘い物食べないイメージあるけど、純くんは平気みたいだね」

純 「うーん、俺は甘いの結構好きだな、、ただ、こうやってそれ専門の店に入るのは、抵抗があるかな」


「純くんは、自分からはそんなに食べないけど、小さいころ一緒に行ったお祭りとかでは、綿あめとか、かき氷とか、お団子とか食べてたよね」

心 「へぇ〜、そうなんだ!そういえば、二人は幼馴染なんだよね?昔の話とか聞かせてよ!」

愛 「あ、う、でも、、小さいころの話、だから・・・」

純 「小さい頃かぁ、愛は、今はそうでもないけど、昔はドジっこだったよな」

愛 「も、もう、純くんってば!・・・・純くんだって、転んで泣いちゃったりとかしてたくせに」

心 「小さいころの二人は、さぞ可愛かったんだろうね、って、あ、来た来た」

愛N そのとき、店員さんがやってきて、それぞれが頼んだ物をテーブルに置いていく。

愛 「ん、美味しい」

純 「お、ホントだ、甘すぎないで食べやすくて美味しい」

心 「でしょでしょ?今度また来てみなよ」

愛 「う、うん・・・・あ・・・・」

心 「どうしたの?愛」

愛 「うん、小さいころの話、一つ思い出したの」

純 「おいおい、何を思い出したんだよ、愛」

愛 「うん・・・・ねぇ、純くん、、今も、書いてる?」

純 「え?・・・・・・・ああ、今は書いてない、なぁ」

心 「なになに?何の話、二人だけの秘密とか?」

愛 「そんなんじゃないよ〜、小さいころね、純くん、物語書いてたんだよ」

心 「えっ!?なになに、小説とか?」

純 「そんな大げさなものじゃねーよ」

愛 「え、でも私は純くんの書いた物語、好きだよ」

心 「へぇ、あたしもそれ、興味ある!」

純 「お、おいおい、今はもう、書いてないっての!」

愛 「・・・・また、読んでみたいな」

純N 甘い物を口に運びながら、俺たちはそんな他愛もない話をした。

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心N ある日のお昼休み、先生に呼び止められて、話をしていた。

心N 叶(かなえ)先生にはなぜか、何でも話せてしまう・・・・。

心 「ねー、先生、愛と純ってさ両想いだと思いません?」

叶 「う〜ん、どうだろうね?」

心 「もう!鈍いなぁ先生は!きっと両思いだよ」

心 「相思相愛なのに、早く付き合っちゃえばいいのに」

心N わたしは、先生のことが好きだ・・・・。

心 「わたしと先生みたいに、もっと一緒に話せばいいのにね」

心N
だけど気持ちを伝えるのは、ここを卒業してからにするつもり。
だって世間が色々五月蠅いから、先生に迷惑だから。


心 「ねぇ、、先生・・・・生徒と先生が付き合うのって、、どう思う?」

叶 「え?」

心 「あっ!別にわたしが先生のことを、とかそう言うんじゃなくて!!」

心N お、落ち着けわたし!、、慌てて繕(つくろ)うわたしに、先生は微笑んで答えてくれる。

叶 「ふふ、そうだね」


「教師と生徒という立場だと、色々と問題がでてくるね。

僕自体はそう言う恋愛はいいと思うし、誰かを好きになるのは自然で、とても美しいことだと思う。

けれど、例えば・・・・成績をつけたりするときに、同じ成績だとして、どちらかを落とさないといけなくなったりしたら、好きな子の方をとってしまうかもしれない、でも、だからと言って、それが悪いことだ、と言うとそれは違うと思う。

人間として当然のことだと思うよ、だけど、平等に分けないといけないから、その辺りやっぱり、周りからはよくない目で見られてしまうだろうね」

心 「うん・・・・そう、だよね」

叶 「それじゃ、僕はもう戻らないと」

心N
わかっていたけど・・・・うつむく私の頭を先生は優しく撫でてから、職員室に戻っていく


心 「要するに、先生にも迷惑かけないくらいの成績なら、問題ないわけ、なんだけどね」

心N
わたしの成績は中の上くらい、、試験勉強とか色々教えてくれる、愛のおかげでもあるんだけどね・・・・。
でもやっぱり、これはわたしなりのケジメだから。


心 「よ〜〜〜〜っし!卒業したら!まってろよ〜〜〜叶(かなえ)せんせーーー!!」

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純N 本当に突然だった・・・・。あいつは、、愛は・・・・突然、俺の前からいなくなった・・・・。

純N
愛がいつも座っていた椅子は机に綺麗にしまわれて、、愛がいつも教科書やノートを置いていた机には、、一輪の花が飾られている・・・・。

純N 理解、できなかった、したくなかった・・・・。

純N 俺は、どうしても・・・・。その現実を受け入れたくなかった。

心 「あんた、、あんた、馬鹿じゃないの!!なんで!?なんでよっ・・・!!」

心 「まだしたかったことあるじゃない!、、言ってない、大切なことだって、っ・・・・・」

心 「大切な人、一人にして、、なに、してんの、、よっ」

純N 葬式にだって、、いったのに・・・。おれは・・・。

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心 「・・・・ねぇ」

純 「・・・・・・・・」

心 「ねぇってば」

純 「・・・・・・ん」

心N 生気の無い顔、虚ろな表情・・・・。心配して、わたしは純くんに声をかけた。

純 「どうした?・・・・・・何か用か?」

心 「・・・・まだ、探してるの?」

心N
愛が・・・・いなくなってから、彼はずっと、、探している・・・・。
愛のことを、ずっと、毎日。


心N  愛から聞いた、彼とよく遊んだ場所や、通学路、3人で行った甘味屋や、色々なところを、毎日、毎日・・・・。

純 「・・・・・・」

心 「ねぇ・・・・あのこは・・・・愛は、っ」

心N
もう、いない、そう言おうとして、言葉に詰まる・・・・。
わたしも、、信じたくはない、だけど・・・。


心 「もう、ね・・・・いな」

純 「・・・・っ・・」

心 「あっ・・・・」

心N
彼は立ち上がると、一瞬だけこちらに顔を向け、ゆっくりと歩いていく・・・・。
今日も愛を探しに行くのだろう・・・・。


心 「・・・・ふぅ」

心 「あんな顔されたんじゃ、、なにも言えなくなっちゃうじゃない」

叶 「心さん」

心N その場に座り込んだわたしに、いつの間に来ていたのか、先生が声をかけてくる。


  「先生・・・・どうしたらいいと思う?わたし、何とかしてあげたいけど、、どうしていいのか、わかんないよ・・・・」

心N そういうわたしに、先生はハンカチを渡してから、、ポツリと呟いた。


「今はそっとしてあげるのが一番だと思うよ、、何もしないんじゃなく、見守ってあげるのが」

心N そういってから、私を優しく抱きしめてくれる・・・・。

心N
もし、もし、先生を失ったら、わたしも、きっと彼のようになる・・・・。
だから、だからこそ、何とかしてあげたい、でも、だからこそ、なのかな・・・・。
今は黙って見守っているほうがいい、そう思った・・・・。


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叶N
心さんの話を聞いてから数日後、僕は廊下で純さんを見かけた。
愛さんが居なくなってから、、彼は、まったく変わってしまった。
真面目に活動していた部活も殆どでなくなり、授業にも身が入っていない。


純 「・・・・」

叶N すれ違いざまに、僕は彼に言った。

叶 「・・・・今の君を、、愛さんが見たら喜ぶと思うかい」

純 「!!」

叶N 彼はカッと目を見開いて、僕の胸倉を掴む。

純 「先生にっ、、、あんたに何がわかるんだよ!!」



叶N
・・・・僕は、なんだか風に当たりたくなって、屋上に足を運んだ。
そこには心さんがいた。彼女は僕の顔をみると、何があったか聞いてきた。


叶N
誤魔化そうとしてみたけど、心さんは全てをわかっているような顔をして、見つめてくる。
・・・・・・僕はありのままを心さんに話した。


心 「はは、それは殴られて当然だね」

叶 「僕は、ひどいことを言ったからね」

心 「あとを追うと思った?」

叶 「・・・・はっきり、とは言えないけれど、危ういと思った」

心 「・・・・・・・」

叶 「心さんには、ああ言っておきながら、大人げなかったかな・・・・」

心 「そんなことないよ」

叶 「え?」

心 「先生が言う前に、私も同じこと言ったから」

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純N
それから、一か月以上が経った・・・・。
俺は、今でも、信じられないでいた、けど・・・もうあいつは・・・・。
それでも、俺は、、また、いつものように、、あいつとの想いでの場所に向かっている。


純N
あいつがいなくなってから、何度も訪れた場所・・・・。
幼い頃によく遊んだ公園、、学校の通学路・・・・そこに、、愛はいた・・・・。


純N
夢でも見ているのかと思った・・・・。だって、あいつは・・・・。
嬉しいのに、ずっと探し続けていたのに、そんな事を考ている俺に、愛の声が聞こえた。


愛 「ごめん・・ね、先にいっちゃって・・・・」

純 「・・・・」

愛 「どうしても、、どうしても言っておきたい事があったの・・・。私なんかじゃ駄目かもしれないけれど・・・どうしても伝えたかったの、ずっと昔から、小さいときからずっと想ってた事」

愛 「あなたが・・・・」

純 「俺も、、俺だってずっと言いたい事あったよ!」

愛 「え?」


「お前と一緒にいられるようなカッコイイ男になろって!
ずっと護っていけるような強い奴になろうって!努力した!俺なりに頑張って!!
やっと自信が持てるようになった!やっとお前に好きだって!ずっと、ずっと大好きだったって!言えるって、、そう、、そう思って・・・っ!!」


愛 「・・・・」


純 「なのに、、なのになんでだよぉ・・・」

純N 俺は愛に縋(すが)り付いて、、泣いた・・・・。

愛 「ごめん、、ごめんね!」

純 「しかも、、私なんかじゃ駄目かもだって・・・?馬鹿じゃないのか?にぶすぎだよ・・・」


「えへへ・・・本当、、馬鹿みたい、鈍すぎだよね、私・・・・。
純くん、どんどんカッコよくなっちゃって、勉強も運動も何でも出来るようになっちゃって・・・・。


昔は同じ位の所に居たのに、いつの間にか私があなたの背中を追いかけてるように感じて、かってに私じゃ、純くんに相応しく(ふさわしく)ないんじゃないかって思っちゃって・・・・。

・・・でも、、純くんは、いつも隣に居てくれたんだよね・・・私が気がついてなかっただけで、、あの時と全然変わってなかったんだよね、純くんは・・・」

純N
目の前の愛は、俺を抱きしめてくれた。
現実には、いなくなってしまった、愛は、それでも、とても、とても、暖かかった。

純 「ううぅぅ」


「その顔、幼稚園の頃に一緒いったお祭りで、私を犬から助けようとして、噛まれちゃって、怪我はたいしたことなかったけれど、すごい大声で泣いたときの顔だ。その声に驚いて犬、逃げちゃったんだよね」

純N
愛は優しく、笑いながら、そんなことを言ってくる。

純 「鈍いくせに、余計なことは覚えてるんだから」

愛 「えへへ・・・」

純N 俺と愛は、見詰め合って・・・・。最初で、最期の口づけを交した。

愛 「大好きだよ、純くん」

愛 「もう・・・いかなきゃ・・」

純 「嫌だ!いくなら俺も、俺も一緒に!!」

愛 「ね、私のお願い聞いてくれるかな?」

純 「・・・・?」


「わたしは、見えなくなっちゃうけれど、ずっと純くんの傍に居るよ・・・。
だから、幸せになって・・・・。私のせいで純くんを苦しめちゃったのに、、こんなお願いするなんて酷いよね。
でも、でも、お願い、私の分まで幸せになって・・・・」

純 「・・・・」

愛 「・・・ダメ・・かな?」

純 「・・・・」

愛 「・・・・・やっぱり、酷い、、お願いだよね・・・」


「わかったよ・・・お前が居ない世界で幸せになれるかどうかわからないけれど・・・。
そうなるように生きてみるよ・・だから、だから、、ずっと傍にいて、見ていてくれ」

愛 「・・・うん!」

____________(ここから心の声はおばーちゃんボイスができたらお願いします。)____________________________

心N それから数十年の時が経ち、わたしは編集長として、一冊の本を発表した。


「純は今までに、読んだ人に夢と希望を与えるような、そんな本を書いて私達に届けてくれました」


「しかし彼は、人気も高くなり、有名になっても質素な暮らしをして、殆どの財産を施設などに寄付しました」


「そしてなにより、彼が最期まで独身で通したのは何故なのか、考えたことがある人も多いはずです・・・・」

心 「なにより、モテましたからね、彼は、ふふふ」


「その答えがこの本の中にあります・・・・作家・・・いえ、一人の不器用な男が最後に書き残した本です・・・・」


「わたしが見つけたとき、彼は机につっぷして、事切れていました・・・・」

心 「ですが、その顔には微笑みが浮かんでいました」

心 「そして彼の机には、書き上げたばかりの、この本の原稿がおいてありました」


「彼が生涯において、幸せだったかどうかは私にもわかりません、でも、きっとそうであったと思いたい、あれだけ夢と希望に満ち溢れた本を書けた人なのだから・・・・」

心 「私の友人二人が残してくれた、若く不器用だけれど、あたたかな愛の物語・・・・・」

心 「彼の最期の作品 恋愛小説 「想い人」 です」

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心N
家に戻ったわたしは、その本の編集者が記載された欄、私の名前と、夫の名が記されたページを開く。

心 「純、愛、あなた達は気がついていたかしら?」

心 「あなたと、愛の間に私が入って、もどかしいあなたたちの手を繋いで・・・・」


「最後に、それを見守る先生・・・・あなた達には負けるかもしれないけれど、わたしと先生・・・・わたしの夫、叶(かなえ)にも・・・・ちょっとした本が創れるくらいの話があるのよ?」

心 「叶と、あなた達がくれた、わたしの物語が・・・・」







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