タイトル「光と闇と」

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やっつけ感が否めない感じな、15分程度の短めな台本ですが、よければどうぞ!

(この台本もテンポよく、そして語り的な話ですので、セリフはゆっくりと読んでいただければ、と思います)

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♂1 ♀2
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魔王 ♂
魔物を率いて人間と戦い続けてきた。
黒髪に群青色の鎧をまとった、一見するとまだ若い青年のような魔王。


・・・・魔王は人と魔族の子である少女を愛した。
その少女は特殊な病にかかり、その命は風前のともしびとなっていた。
少女の命は、魔王を倒しに来た勇者によって一時的にだが救われた。
勇者の力と、寿命を引き換えにして・・・・。


勇者 ♀
勇者の末裔として、魔王を倒す定めを受けた、紅蓮の様な瞳と髪を持つ少女。
彼女は、何も知らなかった、だが、知ってしまった。
少女は、魔王の命を絶つことができなかった・・・・。


人間からも、魔物からも狙われるようになってしまった。
それでも尚、着いていくといってくれた仲間と共に、真実を確かめるべく、剣と共に封印させれている”記憶”を確かめるべく、自分の先祖である勇者の墓へと旅を続けてきた。

少女 ♀
金髪で蒼瞳の少女、争いを嫌い、魔物も人間も平等であるべきと唱えていた少女。
少女はまとまることのなかった人間をまとめ上げ、そして戦場では常に先頭に立ち、魔王の軍勢と戦い、勝ち続けてきた。


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魔王 「光と闇と・・・・」

少女
「勇者と呼ばれるものが光なら、、魔王と呼ばれるものは闇・・・・本来なら相容れぬ存在である
 正義と悪・・・・・・だが、、その二つともが、、、、相容れぬがそれでも、、正義であった物語」

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勇者
「真実を知るために、、着いて来てくれた仲間・・・・みんな、、いなくなっちゃったけど・・・・」

勇者
「最後の一人が、、勇者の墓を護っていたガーディアンと戦い逝った・・・・・・・」

魔王
「そして勇者は先祖の墓にたどり着く、、そこには、、、真実の記憶があった・・・・」

少女
「先祖であった、勇者と呼ばれた者の剣と、、家族の記憶・・・・・・魔王と勇者の記憶・・・・」

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魔王 「やはり、ここにきたか・・・・」

勇者 「・・・・本当、、だったんだ」

魔王 「・・・・・・」

勇者 「自分を殺すかもしれない、、そんな奴の家族をずっと護ってきてたなんて・・・・」

勇者 「・・・・おかしいよ・・・・わたし、何のために・・・・」

魔王 「お前が勇者で、俺が魔王・・・・ただそれだけだ」

勇者 「おかしい、、よ・・・・」

魔王 「俺も、そう思う」

勇者 「・・・・でも、、もう、」

魔王 「そうだ・・・・魔物と人間どちらが生き残るか・・・・お前も覚悟を決めろ」



勇者 「・・・・・・・・・っ!今なら、、まだ・・・・逃げられるよ・・・・・・」

勇者 「いまなら、まだ!!軍隊が来るまでには時間がっ!!」



魔王 「・・・・・もし、俺を倒せたならば・・・・人間にまで襲われることはなくなるだろう」

魔王 「俺ももう、後には引けんからな・・・・」

勇者 「・・・・・・・・」

魔王 「・・・・・・・まっている」

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勇者 「本当に、、待ってたんだ・・・・わたしの、、ために・・・・」

魔王 「・・・・・・借りはかえしたぞ・・・・そして、、これでお互いの戦いが終わる」

勇者 「・・・・お前は、馬鹿だ・・・・男同士なら、黙って、、黙って剣で語り合うんだろう・・・」

勇者 「だけど、、私は女だ!!・・・・だから、、いうぞ、、、お前はっ、、馬鹿だっ!!」

魔王 「お前も、な」



勇者 「・・・・終わらせよう」

魔王 「うむ!」



少女
「魔王は、、嘗(かつ)て、、自らの愛した少女を勇者によって救われたことがある・・・・勇者は少女を助けるために、力を失った・・・・。 少女の命の灯火は勇者によって、少しだけ延びただけにすぎなかった・・・・」

勇者
「それでも、魔王は一時の安らぎと永遠の愛を得ることができた・・・・その恩に報いるために・・・。  勇者が力を取り戻すまで、、待ち続けた・・・・。勇者が死んだあとも、その血を継ぐものがいつか目覚めるそのときを・・・・」

魔王
「やがて勇者の力を継ぐ者が現れた・・・・それが、、いま雌雄を決しようとする、彼女だ。  彼女は魔王の事情などは、、、知らなかった・・・・だが、、知って、しまった ・・・・」

勇者
「それでも、二人は、、、この戦いを終わらせなければならない運命・・・・相容れぬ、近くて遠い・・・・」

魔王 「背中合わせの」

少女 「・・・・光と闇・・・・・・」

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少女 「魔王は人間の敵として・・・・勇者のほうも・・・・断罪の対象になっていた・・・・」

魔王
「後一歩で、魔王に止めを刺そう、というところで、魔王の側近の一人の少女が魔王を庇ばい、死んだ」

勇者
「なにが・・・・勇者、、っ・・・だ・・・・何も知ら、ない、、くせにっ・・・・・・・・!!」 

少女 「・・・・・・その最期に魔王の生き様の全てをみせる、怨嗟(えんさ)を勇者にぶつけて・・・・」

魔王 「魔王を、倒す、、宿命を背負っていた勇者は・・・魔王を助けた・・・・」

少女 「勇者は魔王を逃がしたとして、、、国を追われた」

勇者
「逃げた魔王は攻めて来る人間と戦い続け、、いまでは魔王の軍は、側近を含めてほぼ人間の軍によって敗北し、絶大な力を持った魔王のみを残すに至(いた)った・・・・」

少女 「魔王は、たとえ勇者を倒しても、、やってくるであろう人間の軍に殺されるだろう・・・・」

魔王
「勇者は、たとえ魔王を倒しても、、断罪の償いとして、いや、用済みとして、処刑されるだろう・・・・」

勇者
「それでも、相容れぬ存在として、、二人は戦うのだ・・・・勇者は仲間のために、、魔王は死んでいった友のために・・・・」

少女
「剣で語り合う、、数多くある物語の様に、魔王は悪として、勇者は正義としてあれば、、楽であったのに・・・・魔王も、そのつもりで、勇者にはなにも語らずいた・・・・剣と剣とがぶつかり合う度に、その音は悲しい言葉となって、鳴り響く」

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勇者
「・・・・・やがてたどり着いた、人間の軍隊が、語り合う二人を見ている。数々の人間の軍隊の中に、白銀の鎧に包まれた部隊があった」

魔王 「その先頭にいる少女が前に出る・・・・」

勇者 「聖少女と呼ばれていた少女、、魔王の部隊を壊滅させた張本人・・・・」

魔王
「勇者は魔王を逃がした罪で国を追われたが、それでも着いてきてくれた、人間にも魔物にも襲われ続けてなお、ここまで着いてきてくれた、いまはもういない数少ない仲間と共に、、ここまで来た・・・・」

勇者
「魔王は、、勇者の帰還を待ちながら、人間と戦い続け、、数多くの友を失いながらも、魔物と人間の子だった少女が求め続けていた、争いの無い、迫害のない世界のために戦い、、ここにたどり着いた・・・・」

少女
「ここは・・・・・・・・嘗(かつ)て・・・・・・・魔王が愛した少女を救った勇者が眠りについている場所・・・・。 魔王を倒せたのにもかかわらず、、、魔王の愛した少女に、、一時の生を与えるために、、力を失い・・・・」

勇者
「自らの命を分け与え、残り少ない人生を迫害されながらも生き抜いた、勇者としての生と死を体現した者の墓標・・・・」

魔王 「その勇者に一時の生を貰った・・・・・・・魔王が愛した少女が・・・・ともに眠る場所」

少女 「魔王にとっても、、勇者にとっても・・・・特別な場所・・・・」

魔王
「勇者の恩に報いるために、その家族を、、護ってきた魔王と・・・・それを知らず魔王を倒す宿命を与えられ、やがて全てを知ってしまった少女・・・・」

勇者
「剣で語り合う、その二人を見つめ・・・・人間の軍の全権を握っている少女が右腕を天に掲げる・・・・」

魔王
「これまでの幾多の戦場で、彼女はこうして指揮をとってきた・・・・それは突撃の合図、、彼女に負けはなかった・・・・人間の軍隊は魔物に敗退していたが、彼女が部隊を率いてからは、、、全ての戦いに勝利してきた・・・・」

勇者
「戦を拒み続けていた、、一人の少女・・・・魔王の愛した少女と同じように・・・・魔物も人間も同等であるべき、、と、唱え続けていた少女」

魔王
「とても剣を扱えるとは思えないような、優しい少女、、人里はなれた荘園に住んでいた少女」

勇者
「魔物には率いる者がいた、、魔王という絶対的な存在がいた、、、迫害されてきた魔物たちを率いて、、人間との戦争に一時は勝利した、、、強く、、優しい王が・・・・」

少女
「人間には率いる者がいなかった・・・・国同士でのいざこざ、、魔物との戦い、、まとめるものがいなかった、、なかには、まとまろうとした者たちもいたが・・・・一つにまとまることが無かった」

勇者 「そのため、、暴虐非道と自らが呼んでいた魔物よりも・・・・ずっと、、非道になっていった」

魔王
「人間を導くことができたのは、、一人の少女だった・・・・。理由はわからないが、、、その少女には不思議な力があった・・・・人を安心させ、、落ち着かせ、、そして・・・・包み込むような安堵感を与えることができる、不思議な力・・・・」

勇者 「もしかしたら、、魔物の方に立っていたかもしれない・・・少女・・・・」

魔王 「その少女は、幾多の戦場で常に最前線にいながら、自らは血を流すことなく、、こうして勝ち続けてきた・・・・血の変わりに、、彼女は、、涙を流し、、ここにたどり着いた・・・・」

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勇者 「少女があげた腕と呼応して、、軍隊が一斉に武器を掲げる・・・・轟音が響く」

少女 「剣で語り合う魔王と勇者、二人の動きが止まり、、共に軍隊を見つめる・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

勇者
「しばらくの沈黙の後、、少女の腕が動く・・・・・・・天に掲げた腕を、ゆっくりと・・・・右に動かす・・・・。それは、突撃の合図とは、違った・・・・」

魔王
「軍隊は武器を地面に突き立てる・・・・・。少女は跪(ひざまず)き、、祈るように手を組む・・・・軍隊も同じように、地に突き刺した武器に手を掛け・・・・頭(こうべ)をたれる」

勇者
「軍隊の中には、、魔物の姿も混じっていた・・・魔王の側近は戦い抜いて死んだ、、、ここにいるのは、、その側近たちに生きろといわれ・・・・・降伏した魔物たち・・・・」

魔王 「・・・・少女の瞳から、涙が一つ零れる・・・・それが合図のように・・・・」

少女 「二人の英雄が最期の語り合いを続けた・・・・・・・」

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魔王 「全てが終わった後・・・・少女は立ち上がり、振り向くと軍隊を見据えて言い放つ」

勇者 「優しいなかに、凛とした厳しさの篭った声で・・・・・・」

少女 「悔い改めなさい・・・・・・これがあなたたちが犯した罪」

少女 「・・・・そして、私が犯した罪」

少女 「今生、来世、永久に忘れることのなきよう」

魔王 「その言葉を言い終え、、少女は、二人の元へとゆく・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

勇者
「お互いの体に剣を突き刺し、抱き合うように、息絶えた二人の英雄・・・・・・。その二人を抱きかかえる一人の少女・・・・その3人を見つめる人間の軍隊と魔物たち・・・・」

少女 「二度と、同じ過ちを犯さぬように・・・・この物語はこうして、ここにある」

魔王
「悪を捌くものが悪となり、、悪が正義となるか・・・・この世界にはその理(ことわり)はすでに、答えが出ている・・・・」

勇者
「人間もそうではない種族も、いまでも少女の言葉と、、英雄たちの悲しい物語を忘れてはいない」









少女 「・・・・・・・・・ところで、、あなたの世界は・・・・・・・・」

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