タイトル「ドラゴンブレイド」

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登場キャラクター

♂ 6 ♀ 3 不問 1
の計10人となっておりますが、ぶっちゃけ 男2女1 の3人でもいけなくはないですw少々忙しいですが^^;。

         被りの場合

賢者の老人 ♂ &兵士&絶影

少年 不問   忙しいですが、女性の方が被っても良しです。

少女 ♀ &龍&物書きの少女

青年 ♂ &歴史家&セティル

龍 ♀
兵士 ♂

物書きの少女 ♀
歴史家 ♂

セティル ♂
絶影 ♂

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少年 「んじゃ、ちょっといってくる!!」

少女 「?・・・・どこいくのかしら?」

少年 「いざ!山の頂上へ」

少女 「ちょっと、どこいくのよ」

少年 「うん?・・・・秘密だ!」

少女 「秘密ね、叫んでるから丸聞こえなんだけどね・・・・」

少女 「・・・・山の上っていったら、あそこしかないじゃない・・・」

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賢者
「ある日、麓(ふもと)にある小さな村から、一人の少年がやってきた」

賢者
「わたしは帰るように進めたが、その少年は帰ろうとはしなかった」

賢者
「村では、魔法使い、賢者、などと、わたしの事を呼んでいるらしく、それが事実なのかを知りたいようだ・・・・」

賢者
「その少年にわしは言うてやった」

賢者
「残念だが、わしは魔法使いでも、全てを知っている賢者でもない」

賢者
「そう話すと、少年は残念そうに顔をしかめる」

賢者
「その後で顔をスッと上げると、わしの顔をみてその少年は言う」


少年
「魔法使いでも賢者でもないなら、おじいさんは何者なの?」

賢者
「ただの人が多く居る場所が嫌いな爺だ、、と、、言って追い出してもよかったが・・・・」

賢者
「少年の瞳、澄んだ瞳をみていると、このまま帰すのも可哀想だと思うた」

賢者
「わしは少年に傍にある椅子に座るよう言うと、暖かいスープとパンを持ってきてその少年の前に置いてやる」

賢者
「少年は、食べてもいいの?というような瞳をでわしをみる、、わしも良いぞという微笑みを浮かべる」

賢者
「少年がパンを口に運び、スープを2口3口、と飲んだところで、わしは話をしようと口を開く」

賢者
「さて、一つだけ話をしてやるから、それが終わったら帰るんだぞ?」

賢者
「少年は喜ぶ顔を浮かべると、スープを一口飲んでから、わしの顔をみつめてくる」

賢者
「ドラゴンスレイヤーの事は知っているか?」


少年
「うん!」


賢者
「では、ドラゴンブレイドのことは知っているか?」

賢者
「少年は答える・・・・」

賢者
「そう、剣だと、伝わっている」

賢者
「わしはその少年にある話を聞かせてやる」

賢者
「ドラゴンが絶滅した訳と、そして、ドラゴンブレイドの話を・・・・」

賢者
「ドラゴンブレイドとは、龍の剣、そのままの意味だが、本当は、ドラゴンと共に戦った戦士の事なのだ」

賢者
「ドラゴンがドラゴンスレイヤーや、それを悪とする者達に殺されそうになるのを防ごうとした者達」

賢者
「龍姫(りゅうき)と呼ばれる者もそうであり、龍の剣と呼ばれた戦士」

賢者
「ドラゴンブレイドとは、その龍の剣と呼ばれた者たちのことであり、、実際の剣ではなく・・・・」

賢者
「ドラゴンを護るために戦った者たちの事なのだ、ということを少年に話して聞かせた」

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少女 「どこに行ってきてたのよ?」

少年 「賢者のおじいさんのとこ」

少女 「ふ〜ん、やっぱりね・・・・で、どうだった?」

少年 「ドラゴンの話を聞いた!」

少女 「へぇ〜・・・・それから?」

少年 「・・・・おれ、冒険者になる!」

少女 「はぁ?・・・・あんたはまたそうやって」

少年 「ドラゴンを、みてみたいんだ」

少女
「あのねぇ、ドラゴンなんてもういるわけないでしょ?すこし考えればわかるでしょうが、もう!ほんとうに子供なんだから!」

少年 「探してみなければわからないだろ!!」

少女 「探して見つかるくらいなら、もう誰かが見つけてるわよっ!」

少年 「そうだとしても、おれは探す、探してみせる!」

少女 「はぁ・・・・・・泣きながら帰ってくる姿が目に浮かぶわ」

少年 「へん!なんとでも言ってろ!」

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青年
「あれからどれほどの月日が流れただろう・・・・」

青年
「再び尋ねたわたしに、賢者である老人は全てを話してくれた」

青年
「老人は龍の魔法によって、本当の剣となることが出来ると、わたしに話した」

青年
「その老人は、いまわたしの手の中に納(おさ)まっている・・・・」

青年
「冒険者となったわたしは、誰にも知られていない秘境で、美しい自然とそこに住む最後の龍を見つけたのだ」

青年
「旅の傍らで、様々な人から色々な話を聞いた、ドラゴンの伝説の事も勿論、聞いていた」

青年
「その話の多くはドラゴンは粗暴(そぼう)で暴虐で人々を襲い、村々を焼き払う、という話が多かったが・・・・」

青年
「それでも、その中のいくつかは、、ドラゴンは無駄な争いは嫌いで、とても賢いと言うこと」

青年
「そして、老人が話してくれた事と、同じことを語っている書物などもあった」

青年
「その秘境に住まう龍と言葉を交(か)わし、わたしが聞いた話は、おそろらくはそのどちらも正しかった、という事を学んだ」

青年
「龍が話したことは、龍の中にも確かに人を襲うものがいた、ということ」

青年
「その龍自身は、争う事が嫌いだということ・・・・」

青年
「人と共に死んでいった仲間のこと、、そして、自分がおそらくは最後の生き残りであろう、ということをわたしに話した」

青年
「その龍は白く白銀に輝き、とても美しかった、、周りに広がる景色も美しかった・・・・」

青年
「しばらくの間、わたしはそこで龍と語り合う日々を過ごした・・・・」

青年
「ずっと、ここにいたかった・・・・だが」

青年
「静寂の中の、まるで幻想のようなこの秘境を、人が汚してはならないと考え、わたしはここを去ることを決めた」

青年
「龍はここを去る、という私の言葉と、そのわけを聞くと言葉を投げかける」


「人と龍は互いに生きていける存在であり、ここをそのように思ってくれているのなら、ここに留まることになんの間違いがあるの?」


青年
「わたしにそう言ってくれた、その龍の言葉に自然と涙があふれた」

青年
「それでも、もう数日したら、わたしはここを発(た)つということを、彼女に告げた」

青年
「その数日の間に何があったのかは、あえては語らずともおこう・・・・」


「滅びるして滅ぶのが定(さだ)めならば、それを受け入れよう」


青年
「龍はそういった、、、だが、わたしは戦うべきだと彼女にいい」

青年
「わたしも共に戦うことを誓った」

青年
「あのときにすぐにここを発っていたら、わたしは何も出来ないまま生き残り、友の死をあとで知ることになっただろう・・・・」

青年
「わたしは急ぎ故郷の村に戻り、あの老人に助力を求めた」

青年
「・・・・嘗(かつ)て友に救われ、今はわたしの手に収まっている老人に口付けをし・・・・」

青年
「わたしは叫び、彼女を救うために、その軍隊に戦いを挑んだ」


青年
「最後の龍よ!わが友よ!!遅くなったが今戻ったぞ!!」


青年
「わたしの言葉に答えるように、、彼女は天に向かって咆哮をあげた」

青年
「その咆哮には喜びと、、そして、悲しみが混じっていることが、わたしには解った・・・・」

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歴史家
「その男が振るう剣は、嵐を呼び、兵士達をなぎ払った」

歴史家
「白銀の龍が咆哮をあげると、稲妻が大地に降り注いだ」

歴史家
「長い戦いが始まった・・・・」

歴史家
「いつの頃からか、龍とその男を殺そうとしている軍隊と、戦い始める者が現れた・・・・」

歴史家
「龍の伝説を信じていた者たちなのか、嘗てのドラゴンブレイド達の霊なのかは、解らないが・・・・」

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兵士
「いつの間にか、、俺のいる部隊に攻撃を仕掛けてくる奴らが増えた」

兵士
「どうやら、、龍に味方をしようとする者が出始めたようだ・・・・」

兵士
「その時、どこからともなく声が聞こえてきた・・・・頭の中に直接語りかけるような声だ・・・」

兵士
「その声は、いま戦っている龍の声なのだろうことは、俺には分かった」

兵士
「何人かの兵士は立ち止まり、その声に耳を傾けた・・・・俺の友人もその一人だった」

兵士
「龍の声は、戦い、争いは無意味であり、それを望んでいないことを叫んでいた」

兵士
「優しいあいつは、戦争をとめようと思ったのだろう、自軍に振り返った」

兵士
「何かを叫ぼうとしたとき、剣によって刺し貫かれた」

兵士
「彼を後ろから刺したのは、いつも彼をいびっていたあの男だ・・・・」

兵士
「俺と、何人かは彼の友達だった・・・・彼を殺したその男に剣を向けたのは一人ではなかった」

兵士
「その男は強かった、伊達に一つの部隊の指揮官ではなかった、嫌な男だが強さは本物だった」

兵士
「・・・・その男に殺されそうになったところを、、龍の放(はな)った火の玉によって助けられた・・・・」

兵士
「俺は雄たけびに似た叫びを上げ、友の敵を討ってくれた龍の御許(みもと)へ逝く事を決めた」

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歴史家
「また新たな部隊が現れた、その部隊には嘗(かつ)ては少年だった彼が知る顔がいくつもあった・・・・」

歴史家
「あの小さな村、、最後のドラゴンブレイドを護るためにあった小さな村・・・・」

歴史家
「彼の故郷・・・・その村の人々が集まって、嘗(かつ)ての少年と龍を護るために戦いに身を投(とう)じた」

物書きの少女
「その村の人々を率いていたのは、少年のよく知る、あの時の少女だった・・・・」

物書きの少女
「嘗(かつ)ての少年と、嘗ての少女は、一瞬だけ、顔を見合わせて、笑った・・・・」

物書きの少女
「やがて敵だった兵士の中にも龍の為に戦う者たちが現れた・・・・」

物書きの少女
「ドラゴンブレイドを持つ者となった男が、旅先で出会った人々も集まり、戦いに身を投じていった」

歴史家
「だが、それでも情勢は変わらなかった、最後の龍は傷付き寝床(ねどこ)である洞窟へと徐々に徐々に、追いやられる」

物書きの少女
「男は尚もその龍を護りながら剣を振るう」

歴史家
「・・・・やがて、彼も力尽き膝を付く」

物書きの少女
「それでも彼の瞳と、彼の持つ剣は輝きを失うことはなかった」


物書きの少女
「龍の為に戦ったものは誰一人逃げることなく戦い続け、その全てが斃(たお)れた」

歴史家
「小さな村の少年だった、ドラゴンブレイドを持つ男も、敵を見据(みす)えたまま息絶えた」

物書きの少女
「龍が逃げ込んだ洞窟から突如、光が溢れ彼等を包む」

物書きの少女
「軍隊は秘境から追い出され、まるで結界が張られたように、そこに行き着く事も、帰る事も出来ずにみな朽(く)ち果てた」

歴史家
「その軍隊は亡霊となり、その場に近づくものを見張っている」

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歴史家
「ドラゴンブレイドである者は石となり、最後の龍の亡骸を護っている」

歴史家
「最後の龍の名は・・・・ヴェアトリーチェという、龍は全ての恩を受けた者の名を、自分のフルネームに入れるという」

物書きの少女
「アルテリアス・アリサ・ジェナ・ナルリア・アルベ・シルフィ・イズン・ガーランド・リル・ヴェアトリーチェ・ラナ・メル・アンジュ・ガルブ・アーサー」

物書きの少女
「ラナという言葉の後に4人の知る人は知っているくらいの冒険者の名と、最後にその仲間となった魔女の名をその龍は持っていたという、ラナとは親友と言う意味の言葉」

物書きの少女
「アルベは母、イズンは父・・・・そしてリルはわたし」

歴史家
「彼女は、ヴェアトリーチェその者だったのだろうというのが、後の歴史家の見解であり、愚かな愚考を犯した人間達を決して忘れはしなかったという・・・・」

物書きの少女
「その龍と冒険者を調べた歴史家はこう述(の)べる、メルは魔法使い、アンジェは盗賊、ガルブは巨人族と人間のハーフ、アーサーは、、亡国の英雄である聖騎士 グレン・アルテリアス に憧れていた戦士」

物書きの少女
「・・・・彼等は歴史に残るほどのことはしていなかった・・・・だが、彼等に救われた村々には彼等の名が残っていた・・・・」

物書きの少女
「小さな小さな、本にもならないくらいに小さな英雄、それでいて楽しい冒険者達・・・」

物書きの少女
「彼等に触れたものにとって、彼等は英雄そのものだったと、とある小さな村の村人が著者である本に書いてあった・・・・その後でその歴史家はこう告げた」

歴史家
「やがて人は思い知らされるだろう、道しるべを自ら消してしまったのだということを・・・・」

歴史家
「光の無い闇の中を何を信じたら良いのか解らぬまま、彷徨(さまよ)い戸惑(とまど)う生きた亡者になるだろう、と・・・・」

歴史家
「英霊を葬(ほうむ)り去った罪は重く圧し掛かり、そして、それはあまんじて受けるべき我等の罪だと・・・・」

物書きの少女
「・・・・・・・いまも、、戦争は終わることなく続いている、そして、これからも・・・・」

物書きの少女
「人が間違いを犯したときに、すでに人間は同じ人すらも信じられなくなったのだと、彼は語ると、二度と表の舞台に出てくることはなかった」

物書きの少女
「彼の名を聞き忘れたのが、わたしの最大のボケだったのだろう・・・・だけど、どこかで、そう、どこかで知っている、そんな不思議な親近感を持てる男だった」

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物書きの少女
「彼が何者なのかは、わからない・・・・骨董品屋でみつけた、装飾された小さな銀色のコイン」

物書きの少女
「それを手に持って、ただ思ったのだ・・・・小さいころに読んだ、綿雲(わたくも)の魔女というタイトルの本」

物書きの少女
「その登場人物たちは、今どこで何をしているだろうって・・・・」

物書きの少女
「その日に見た夢の中での話・・・・」

物書きの少女
「ヴェアトリーチェという少女は本の最後に出てくる、龍と人の血をひく少女の事だ」

物書きの少女
「夢の中で歴史家と話した時のわたしは、大人になっていた・・・・」

物書きの少女
「目がさめた私の現実・・・・そこは、銃弾が飛び交い、爆薬がはじけ、人が人を殺す・・・・そんな時代・・・・」

物書きの少女
「素敵な夢だった・・・・本の世界に入り込めた感じのする、素敵な夢・・・・」

物書きの少女
「素敵な夢をありがとう、歴史家さん!」

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歴史家
「・・・・紅の血に染まった日記にはそう書いてあった・・・・。わたしと少女が出会ったあの日、そこからそう遠くない日数を経たのちに、少女は戦争によって死んでいた」

歴史家
「クソの様な時代、クソの様な争いの中で、同じクソの様な話を聞かされても、少女は素敵な夢だと言った・・・・・・」

歴史家
「競争の果てにあるのは戦争だ、競争を続ける限り、共存などあり得ない・・・・。戦争は悲劇だ、それは、剣で争っていたあの日も、銃弾が飛び交い、人が千切れ飛ぶ今も、、かわりはしない・・・・」

歴史家
「人はいつまで、争いと競争を繰り返すのか・・・・」

歴史家
「・・・・少女が遺した、書きかけの本と、読み終えた日記をその場に置き、わたしはそこを後にする・・・・」

歴史家
「人に幸あれ、最期に汝を貫くのが熱い鉛の弾だとしても、冷たい剣の切っ先だとしても、、氷のような冷徹な言葉や心だとしても、汝に幸あれ・・・・」

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ドラゴンブレイドの伝説後・・・・別世界で。ここから、あとの話はセティルと絶影しかでてこない上に、蛇足的な部分でもあります。
裏設定もバリバリで、更に言えば、個人的な思想も入っていたりするので、面白みはないかもしれません^^;
なので、上記のセリフで終わりにするのもありです。w
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セティル
「これが、余計な介入をした結果・・・・・・・あのときに、あのままで、終わらせて置けばよかった。
それでも、いつか再び和によって成り立つ世界が出来ることを願っている。
そんな世界が出来るまで、何度でも繰り返そう、何度でも・・・・・・・・セティル・アズ・・ナード」


セティル
「この伝説には、続きがある、あの時、俺の分身ができなかったこと・・・・。
それを、本体である俺が行ったのだ。
時間軸を戻して、再構築をする・・・・。
それ自体は、他愛の無いことだ」

セティル
「だが、只そうするだけでは面白みがない。
ならば、この出来上がった世界に、もう一粒だけ、水を与えてみよう」

セティル
「石となった者達・・・・この世界であと数十年後にその呪文が解けるようにしてみよう」

セティル
「俺が与えた水、正確には魔力を世界樹に与えるだけだが・・・・。
おそらく、あと1000年は動き続けるだろう」

セティル
「この世界、この時間、俺の生み出した小さな本の世界・・・・。
さて・・・・俺にまた絶望を与えてくれるか、それとも・・・・」

セティル
(そんなことを考えている俺をみて、いつの間にかそこにいたのか、友である絶影が一言いう)

絶影
「・・・・まだ、人間を媒体にシミュレートしてるのか?」

セティル
(ああ、と、俺は短く答える)

セティル
(溜息を吐きつつ、絶影も短く言う)

絶影
「飽きないな」

セティル
「いや、正直、飽きているのさ・・・・何度やっても、、同じようになる」

セティル
「一度修正しても、また捻じれる、面白いようで面白くない」

セティル
(俺が言った言葉に、彼は呆れた様な、だけど、どこか優しげにつぶやく)

絶影
「まぁ、好きにすればいい・・・・この世界ではもう二度と起きないことを見られるんだ」

セティル
「・・・・・・・・・・・・・」

セティル
(そう、俺たちの世界は一度、、大きな戦乱に陥ったことがある。
恐らくもう二度と、起こらないであろう大きな戦争)

セティル
(俺たちの世界に生きとし生けるものは、戦争がどれほど詰まらないものか、身をもって知っている)

セティル
(何より、、媒体にしているアースという世界に生きる、人間という生物と違って、衣食住に困ることはない)

セティル
(ただ、人間がこの世界に来ることは無理だろう)

セティル
(魔力の無い者は、この世界では生きていけない、魔力の無い者にとっては空気自体が、毒となるからだ)

セティル
(人間の世界を忠実にシミュレートし、そこに自分たちの世界の友、もしくは自分の髪の毛や血の一滴を媒体として、同じような性格、見た目の分身を作り出す・・・・)

セティル
(そして、成り行きを見守るのだ、世界は勝手に成長する)

セティル
(俺自体が介入することも、もちろんできるが。。。。この人間という生き物は、どうしてか、俺の世界の者達とは違っている)

セティル
(次元が違うのだから当たり前と言えば当たり前なのだが、、困ったことに、戦争と競争をやめて共存しようとはしない、、一時的な共存はあるにはあるのだが・・・・)

セティル
(アースと言う星は、元は悪くない、資源も豊富にある・・・)

セティル
(ただ、俺たちと違うところがあるとすれば、魔法、ではなく機械文明だということだけだろう)

セティル
(今しがた水を与えた世界、それを時間を早送りして眺めている・・・・)

セティル
(だめだった・・・・・また、争い、世界が崩壊していった・・・・)

セティル
(溜息と共に座り込んだ俺に、彼は言う)

絶影
「アース、という世界の人間という生き物も、俺たちの世界に生きてる者も、それで完成しているから、そうなるんじゃなかったのか?」

絶影
「何度やってもそうなるんだ、そろそろ、人間はそういう生き物だから、俺たちのような生き方は無理だと諦めるべきだと思うがな」

セティル
(・・・・絶影の言うとおりだろう、このアース、、地球という星の人間という生き物に、永遠の命を与えて、数を少なくし、そうすれば・・・・また変わるのかもしれないと思うが、、、)

セティル
(俺たちは永遠だ、永遠の命がある)

セティル
(殺されさえしなければ、自然に死ぬことは殆どない)

セティル
(それも、大きな違いなのだろうが・・・・)

セティル
(だからだろうか、この老いて死んでいく人間という生き物に、すこし興味を抱いた)

セティル
(生きている人間は多いが、本当に生きている人間は少ない・・・・)

セティル
(名言と呼ばれる物も多く、文化に興味を持ったが・・・・)

セティル
(なんとも、複雑な、、生き物であり、、俺自体が常に介入するなどしなければ、すぐに乱れてしまう・・・・。困ったものだ・・・・)

セティル (だが、あそこは俺の世界ではない、だが、なんとかしてみたい、とは思う・・・・)

セティル
「はぁ・・・・まぁ、そうなんだけどなぁ・・・・なんとかならないものかねぇ;」

セティル
(背伸びをしつつ、言う俺に、彼が答える)

絶影
「価値観が違う、、だが、同じようなのもいる・・・・」

絶影
「それだけの違いなんだろうな、あとは、焦り、不安、金、欲望、願い、恨み、怒り、まぁ、言い出したらきりのない感情が多すぎるんだろう」

絶影
「俺たちの場合、それが少ないだけだ」

絶影
「食うものは、植物や動物の魔力と自分の魔力を掛け合わせて作ればいいだけで、殺す必要はない」

絶影
「命も永遠と呼べるほどに長いから焦りもない」

絶影
「恨みや怒りは多少なりともあるだろうが・・・・そこまではない」

絶影
「金と呼ばれる物もない、まぁ物々交換もあるにはあるが、そこまで必要ではない」

絶影
「願いといえば・・・・シルフィリアがやってるようなものだろうな、それが俺たちの願いでもある」

セティル
「全ての者が幸せでありますように、、か」

絶影
「そう、それだ、そしてその願いの大半は叶えられている」

セティル
「つまり、すべてそろっている、、と・・・・」

絶影
「その通りだな、そして何より、それ以上を望まないし、競争といわれるのもない」

絶影
「腕試し程度のはあるにはあるが・・・・あくまでお遊びの範疇(はんちゅう)だ」

セティル
「うーん・・・・じゃあ、足りないのはなんだと思う?」

絶影
「寿命以外は、全て揃ってんじゃないか?・・・・新しいものを追い求め続けすぎるだけだろうな」

絶影
「ただ満足する。ということを知らない」

絶影
「あとは、上下関係、、まぁ、この世界にもあるにはあるが、強い者が弱い物を護る、護るもの無き強さは弱さ、という、妖魔の連中が創ったものくらいしかないからな」

セティル
「誰が偉いとかもない、、、と・・・」

絶影
「そうだな」

セティル
「根本から変える必要がある、と・・・・?」

絶影
「そうだが、そうすると、お前が何とかしたい 人間 じゃなくなるんじゃないか?」

セティル
「そう、、だよなぁ・・・・とか思いつつ、0から創ってシミュしてみたんだけどさぁ」

絶影
「ほう・・・・どうなった?」

セティル
「ばっちり均等を保ってるね」

セティル
「ただし、魔法と呼ばれる力がほんの少しだけあって、化学も大してない、アースでいうところの中世に毛が生えた程度・・・・つまり、俺たちの暮らしとおんなじ」

絶影
「ふむ・・・・なら原因はわかってるじゃないか」

セティル
「いや、そうなんだが・・・・あくまで、今のアースの奴らをどうにかしたいわけよ」

絶影
「余計なお世話ともいうな、そういうのは」

セティル
「いやぁ・・・そうなんだけど、、ねぇ・・・物がそこまで悪くないだけに・・・・見た目だって俺らにそっくりだし・・・・」

絶影
「・・・・・・そいつらは、俺たちと違う道を選んだんだよ、だから、それでいいんだ」

セティル
「うーん・・・・」

絶影
「見た目は確かに似ているが、もっているものが全然違うだろう?」

セティル
「寿命、力、魔力、この世界にもいろんな生き物が存在しているが、そのどれとも似ていて、どれとも違う・・・・なんか、他事に思えなくてねぇ、なんか近いんだよ」

絶影
「その世界の連中のことを論じても、答えは出るが、恐らく、、治せはしないと思うぞ」

セティル
「そうかなぁ・・・・」

絶影
「お前や俺がその世界にいって、根本を変えずに、人間より上の生物として治める、というなら話は別だがな・・・・」

絶影
「やらんだろ、そんなこと」

セティル
「・・・・考えてはみた」

絶影
「おいおい;」

セティル
「うまくいくと思う、あの世界は、ある意味で力こそが全てだったからな」

セティル
「人間とは違う生き物が、人間より大きな力でもって、正しく治められれば・・・・」

セティル
「時の君がいるからね、俺たちは次元の壁を突破はできないけど、、少しの力なら飛ばせるからなぁ、それで俺はこうして、あの世界の歴史を学んだわけだし?」

絶影
「はぁ・・・・困った奴だ」

セティル
「この世界の均等を崩すつもりはないし、あの世界はむしろ壊してしまった方が良い気がするけど、どちらにしても、そこまでの力は飛ばせないし、そんなことしたら、時の君にどやされる」

絶影
「そうだな、ぶつかり合いになるだろうな」

セティル
「そこまでする義理は、あの世界にはないからねぇ〜・・・・ただ、私的に気になるだけで」

セティル
「こうやって、物語の媒体になってくれてれば、それでいいかな〜って」

絶影
「やれやれ・・・・それくらいにしておけよ?」

セティル
「わかってるって」

絶影
「ならいいんだが」

セティル
(・・・・アース、、地球とも呼ばれるその星で生きる 人間 と呼ばれる生物・・・・。
 興味を持った。彼らの殆どは、正直に言えば救いようがない者もいれば、自分自身の事すら軽んじる者もいる。他人や世情に無関心すぎる者もいる。
政治、、と呼ばれるものがあり、統治者やそれを行う者がいて、人々を導いているが、実際の所、導くというよりは、私利私欲で動いている者もいれば、そうでないものもまたいる)

セティル
(主義主張も、また様々なものがあるが・・・・)

セティル
(私が何より興味をひいたのが、、英雄、英霊 などと呼ばれる者達だ・・・。
 男、女に限らず、自らを犠牲にして己の信念に生きた者達だ。
中には、狂人になるものもいるが、、英雄とは言いがたい。人間の中にはそういったものを崇拝する輩もいるにはいるが・・・・)

セティル
(誰かを護って死んだ者。誰かを助けようと、戦った者。奪う為ではなく、護るために散って逝った者・・・・。自己犠牲という精神。数あるアースの歴史のなかに生きる彼らのそれは、どことなく 慈愛の聖少女シルフィリア・ファインシルツ そして、鬼と呼ばれる種族 絶影・・・・。
この世界で起きた戦乱・・・・。
鬼王と呼ばれた 絶影の師ともいうべき男は、子を創るために この世界の者ほぼ全てがそうだが、力の源である血の大半を失ったまま、愛した少女と自分たちの聖地を護るために、一人戦い、守り抜いた末に散った。
鬼は、対(つい)で生まれる者が多く、一鬼(いっき)の鬼の少女を除いて、みな兄弟姉妹がいる。 絶影の兄も、旅先で立ち寄った、雪女(ゆきめ)たちが住む雪国を護るために戦った。元々、この世界において必要不可欠な魔力を、最低限しか持ちえない鬼だったゆえに、雪国の吹雪と、操られし妖魔たちとの死闘の果て、氷漬けとなって死んでいった)

セティル
(アースの世界で、英雄と呼ばれる者達は、そんな誰かを護って死んでいった者達に、酷似していた)

セティル
(心のどこかでは、何が正しく、何が間違っているのか・・・・。それをわかっているはずなのだろうに、波に呑まれ、気が付けば、、自分自身すらも偽り生きていく・・・・)

セティル
(同じ仲間であるはずの人を裏切り、自分自身さえよければそれで良い。そんな生き方をする者達・・・・。人間の全てがそうであればよかったのに、、と、思うことがある)

セティル
(人間を媒体として生み出した、一つの物語の中に、絶影の髪と血から創った、鬼を創りだしたことがある・・・・。その鬼は、畏怖され化け物と蔑まされながらも、人の為に戦い、最期の時まで人を信じ、何の抵抗もしないまま人間によってその生を終えた・・・・)

セティル
(だが、鬼に護られた事のある者達が、、鬼を殺した同じ人間のはずの彼等が、鬼の子孫たちを護るために、自らの命をものともせずに戦って、殺されていった・・・・)

セティル
(生きるために、自分すら裏切り、自分すら偽り生きてゆく、、それも自己犠牲というのだろうが、、同じ、自己犠牲、でも、この違いは、一体なんなのだろうか・・・・?信念?義?愛?それとも、他の何かなのか・・・・)

セティル
(全ての人間が、鬼を殺し、それを護ろうとした同じ人間すら虫けらの様に殺すような者達ならば、、、そうであれば、鬼を護ろうとした人すらいなくなるが、、すべてが、どちらかであったのなら・・・・)

セティル
(・・・・絶影との会話では、そこまでの力は飛ばせない、そういったが、、絶影もわかっているだろう。私がその気になれば、アースに生ける 人間だけ を消滅させることなど容易いことを・・・・)

セティル
(私の創りだした、物語の中の、絶影、シルフィリア、アレス、鬼、龍、妖魔、そして私自身・・・・彼等と同じように・・・・同じように・・・・)

セティル
(・・・・わたしも、心のどこかで、人に対する 希望 を抱いているのだろう・・・・)

セティル
(人間から無意味な争いが無くなることを願ってやまない。人間から時として現れる 私たちと同じ心を持った者達が、まるで意味のない玩具のように消されていくような、そんな世界が民衆たちが、民たちが、、変わることを願う)

セティル
(わたしは、見ている。いつでも・・・・人々はそれを神というが、そうなのかもしれないし、そうでないのかもしれない)

セティル
(わたしも信じよう・・・・人間たちに踏みにじられた、同じ人々達を・・・・言いようのない、悲しみと憂いが・・・・その優しさと強さが、いつか、喜びと歓喜の涙を描けることを・・・・)

セティル
(わたしは、何度でも繰り返そう、人間の歴史を・・・・廻り巡り巡って・・・・人々に安らぎが訪れることを思いながら、繰り返そう・・・・何度でも、何度でも・・・・。 セティル・アズ・ナード)


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