タイトル「ドラゴンボーン」
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この物語は、スカイリムというゲームを題材にして創りました。
面白いゲームですので、興味があったらどうぞ^^
ネタばれを少々含んでいるやもしれませんが、ご了承のほどを・・・・。
知識など。
ドラゴン
主にスカイリムとエルスウェアに生息していた強大な生物。
ドラゴンシャウトと呼ばれる独自の言語を持つ。
アカトシュの末裔とも言われており、他の種とは異なる魂の構造を持っている。
ドラゴンは生来の傲慢な性格で、他者を信用せず、力による支配を好む。
力ある者ほど支配者に相応しいという考えを持ち、人間をドラゴンに及ばない存在と捉え、
自分達を崇拝していた竜教団に人間達を支配させ、反逆者には残酷な仕打ちで報復したという。
ところが、キナレスが人間にドラゴンと対等の力をもたらしたことで、状況は一変。
力を得た人間達はドラゴンと竜教団に対して蜂起し、竜戦争が勃発する。
最終的に人間側が勝利を収め、ドラゴンによる支配は終焉を迎えた。
さらに、ドラゴンの魂を吸収することのできる人間「ドラゴンボーン」の出現によって
ドラゴンは狩られ尽くされ、やがてタムリエルから絶滅したとされる。
以後、ドラゴンの存在は次第に人々の記憶から薄れてゆき、
現在では伝説上の生物として、吟遊詩人の歌や本に描かれるのみとなっている。
しかし、アルドゥインの出現と時を同じくして、絶滅したはずのドラゴンが各地に出没し始めた。
ドラゴンシャウト
ドラゴンが持つ独自の言語。ドラゴン語とも。その文字はドラゴンのもつ3本の爪で書かれ、表される。
単なるコミュニケーションのための言語ではなく、実際に何かを「する」力も備えている。
例えばドラゴン語で押すという意味を持つ”ファス(Fus)”を喋れば、実際に目の前の物を強く押すことができる。
ドラゴンが口論(=戦い)のために用いるものであり、ドラゴンがブレスを吐けるのもこのシャウトの力によるものである。
ドラゴンボーン
竜の血脈を持って生まれた、アカトシュの祝福を受けし者のこと。
定命の肉体とドラゴンの魂とを併せ持つ存在であり、ドラゴン語では「ドヴァーキン」と呼ばれる。
ドラゴンの血を引くが故に、天才的なドラゴンシャウトの才能を持つとされる。
今作の主人公もドラゴンボーンに該当する。
ドラゴンの魂を吸収し、ドラゴンを完全に殺すことができたとも言われている。
「竜の血脈を持つ者」としての意味が一般的で、かつてドラゴンスレイヤーだったことを知る者は少ない。
パーサーナックス
太古、竜戦争当時はアルドゥインの同盟者の筆頭であった純白の老竜。
ドラゴン生来の強欲さ、凶暴性を絶え間ぬ努力によって克服したという。
現在は世界のノド山頂に巣を構え、ハイ・フロスガー修道院のグレイビアード達の指導者として声の道を説いている。
しかしドラゴンスレイヤーの集団であった過去を持つブレイズは、過去の大罪は死をもって償わねばならないとして命を狙う。
グレイビアード
キナレスを祖とする「声(シャウト)」の探求者。
キナレスが人間に声を授けたのは、シャウトで闘うためではなく、神の栄光を称えるためだとし、
スカイリムの中心部に位置する山”ハイ・フロスガー”を拠点に、日々瞑想に励んでいる。
ゲーム開始の時点でグレイビアードは5人おり、パーサーナックスがその長を勤めている。
しかし、パーサーナックスは修行中のグレイビアードに対し助言・忠告をする程度で、 実際にはアーンゲールがグレイビアードをまとめている。
潜在的なシャウトの才能を持つドラゴンボーンとも深い関わりを持ち、
歴代のドラゴンボーン達を影で助け、支えてきた過去を持つ。
基本的に、政治・戦争には一切関わらない中立的な立場を取っている。
地上の首長達からも一目置かれており、グレイビアードの立場・考えも尊重されている。
従者(フォロワー/コンパニオン)
プレイヤーと一緒に冒険に出掛けて行動を共にしてくれるNPCのことで、戦闘にも自動で参加してくれます。
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♂1 ♀1 不問1
不問 語りべ・ドラゴン キャラ名「」となっていないところは、全部読んでさいませ。
♂ 吟遊詩人・ドヴァーキン
♀ 老婆・女剣士・従者
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目覚めたドヴァーキンは、自分がどこにいるのかわからなかった・・・・。
辺りを見渡す、小さな小屋のベットの上の様だ・・・・。
ベットに腰掛けたまま、何が起きたのかを思い出してみる。
目的があり、その場所に向かっていた・・・・その途中で、小さな村を見つけ・・・・。
そうだ、一休みしようと村の中に入った途端、激しい眩暈(めまい)に襲われ、、そのまま倒れたのだった・・・・。
思い出した時、声がした。
吟遊詩人「やぁ、目が醒めたかい?」
話しかけてきたのは、ひとりの男だった。
吟遊詩人「気分は、、あまりよくはないかな」
吟遊詩人「何か目的があってこの村に?」
ここで、捕まったり、殺されたりするわけにはいかない・・・・。
ドヴァーキンは男の言葉に、どう返答したものかと迷う。
吟遊詩人「おいおい、なにも捕って食おうってわけじゃない」
吟遊詩人「俺は、ただの吟遊詩人だ」
吟遊詩人「そうだな、一つ話を聞いてくれないか?」
吟遊詩人「まぁ、少し長くなるが・・・・」
ドヴァーキンはそんなことをしている暇はないと、ベットから立ち上がろうとするが、まだ体がふらつき、うまく立てなかった。
吟遊詩人「ははは、ま、骨休みがてらにでも聞いてくれ」
吟遊詩人「一人のドラゴンボーンの話を・・・・」
吟遊詩人「ドラゴンボーンはシャウトを使える奴のことだが・・・・」
吟遊詩人「あいつは、シャウトを使えなかったのさ、つまり、本当のドラゴンボーンではなかった」
吟遊詩人「だが、それでも、彼はドラゴンボーンだった」
吟遊詩人「これは、一匹のドラゴンを護ろうとした男の話さ」
吟遊詩人「彼には、何人かの旅の仲間がいた」
吟遊詩人「彼はその仲間たちと、色々な場所へと旅をしていたんだ」
吟遊詩人「その旅の途中、彼の仲間になった奴がいた」
吟遊詩人「最後に仲間になったそいつは、吟遊詩人で、本と歌を創るために旅に同行させてほしいといった」
男の話は不思議と心地よく響いてくる・・・・。
気が付くと、男の話に聞き入っていた。
吟遊詩人「吟遊詩人を仲間に入れてから、すぐに、、彼らは一匹のドラゴンを見つけたんだ」
吟遊詩人「伝説ではドラゴンは人を襲うと言われていたが、、不思議とそのドラゴンは襲い掛かってはこなかったんだ」
吟遊詩人「ドラゴンと話をするうちに、伝説の様なドラゴン以外にも、こういうドラゴンもいるんだなと、思ったのさ」
吟遊詩人「近くにテントを張って、何度もそこに彼は通い続けたのさ」
吟遊詩人「もちろん、仲間たちも着いていった」
吟遊詩人「ドラゴンは、シャウトのできない彼のことを、なぜかドラゴンボーン・・・・ドヴァーキンと呼んでいた」
吟遊詩人「なんでも、ドヴァーキンにはドラゴンと共に戦う者、ドラゴンと共に生きる者、という意味もあるらしかった」
吟遊詩人「だが、ある時、その場所が別の奴に見つかってしまったのさ」
吟遊詩人「終いには、生きたドラゴンがいるということで、大騒ぎになった」
吟遊詩人「このままでは、ドラゴンが殺されてしまうと考えた彼は、なんとかドラゴンを逃がそうとしたんだが・・・・」
吟遊詩人「そのドラゴンは、年老いていて、もう飛ぶことすらできなかった・・・」
吟遊詩人「逃がすことができないとわかった彼は、仲間たちに相談をした」
吟遊詩人「そのときに、偵察にいってもらっていた仲間から、軍隊が来ている、という報告があったんだ」
吟遊詩人「近いうちに、ドラゴンを殺すために進軍するだろう」
吟遊詩人「彼は、仲間たちと話し、明日の朝早く、ドラゴンを助けるために、その場所に行こうということになった」
吟遊詩人
「こちらは、彼をいれても7人だ・・・・軍隊なんて相手にできるわけはない、それでも、仲間たちは、彼の気持ちを汲んで、ドラゴンを護るために一緒に戦うと言い出して止まらなかったんだ・・・・とくに、あの女は、ひどかったな・・・・」
そこまで話すと吟遊詩人の男は、一呼吸おいて、ため息交じりに話を始める。
吟遊詩人「・・・・なのに、その夜・・・・」
吟遊詩人「一枚の手紙だけを残して、彼は独り、ドラゴンの元へと向かっていったんだ」
吟遊詩人「そこには、すまないとだけ、書かれてあった」
吟遊詩人「仲間を巻き込まないための配慮だったんだろうな・・・・」
吟遊詩人「わかるか?軍隊を相手にたった一人で戦うつもりだったのさ・・・・勝算なんてもちろんなかったろうな・・・・」
吟遊詩人「だが、彼が夜中にひとり出て行ったことに気が付き、あとをつけた奴がいたんだ」
吟遊詩人「それは、最後に仲間になった、吟遊詩人だった」
吟遊詩人「ドラゴンがいる場所の近くで、吟遊詩人は彼に声をかけた」
吟遊詩人「彼は、驚いたようだったが・・・・」
吟遊詩人「・・・・彼は、吟遊詩人にこう言ったんだ、戦うな、全てを見て・・・・」
吟遊詩人の声が、少しだけ詰まる・・・・。
吟遊詩人「・・・・全てを、見て、、戦うことはせず、全てを見て、歌にしてほしいと」
吟遊詩人はそういった後、また、声を詰まらせる、そのあとで、鼻をすすると話し始める。
吟遊詩人「ドラゴンが哭くのを見たことがあるかい?」
吟遊詩人「ああ、、叫ぶとかではなく、涙を流す所をさ・・・・」
吟遊詩人「・・・・そうだな、まだ見たことはないだろうな」
吟遊詩人「足にも体にも腕にも、矢が突き刺さり、傷の無いところなんてどこにもなかった・・・・」
吟遊詩人「それでも、彼は、前に進んでいった、友を護るためだけに・・・・」
吟遊詩人「それをみていたドラゴンが叫んだのさ」
ドラゴン「もうやめろ!!やめてくれドヴァーキン!!」
ドラゴン「もう十分だ!!やめてくれ!!」
吟遊詩人
「ドラゴンの悲鳴にも似た叫び声が響くなかで・・・・ドラゴンボーンは、幾つもの矢と、剣と、槍に、刺し貫かれた」
ドラゴン「ドヴァァァアアアアアアキーーーーン!!!!」
吟遊詩人「俺は、ドラゴンも涙を流すのだということを知った」
吟遊詩人「結局、そのドラゴンは、、そのあとすぐに倒されてしまったが・・・・」
吟遊詩人「これが、ドラゴンボーンと呼ばれた男の話さ・・・・。さ、俺の話は、ここで終わりだ」
部屋に沈黙が訪れる。
その沈黙をやぶる様に、吟遊詩人の男は扉に手をかけながら穏やかに言う。
吟遊詩人「・・・・君も、ゆくのだろう?ドラゴンボーン」
一言だけそういうと、その男は外へと出て行った。
少しの間思案していたドヴァーキンだったが、やがて座っていたベットから立ち上がる。
吟遊詩人が出て行った扉を開け、外に出た。
辺りを見渡してみるが吟遊詩人の姿はもうどこにもなかった。
老婆「あんた、吟遊詩人の話を聞いたのかい?」
突然話しかけてきた老婆の言葉に驚きながらも、ドヴァーキンは頷く。
老婆「そうかい・・・・」
老婆「それじゃあ、続きを聞かせてあげようかね」
老婆「一人、帰ってきた吟遊詩人の男は、置いてけぼりを食らった他の戦士たちの元に戻った」
老婆「・・・・みんな、何が起きたのか、理解はしていたのさ・・・・だけど・・・・」
女剣士「・・・・彼が、、死んだって・・・・?」
女剣士「それで、、あんたは、あんたは、、何をしていたのさ!!」
女剣士「彼が、彼がどうするか知ってて、後について行ったのに、、」
女剣士「着いて行ったあんたは、あんたは、何もしないで彼一人に戦わせたって!?」
激情を隠さずに、女剣士は吟遊詩人の男を殴りつけ、倒れたところを踏みつける。
何度も何度も・・・・。
見かねた体格のいい一人の戦士の男が、女剣士を止めようと後ろから押さえつける。
女剣士「離せ!離せ!!こいつは、こいつは見捨てたんだ!!あの人を!あの人を見捨ててっ!!」
女剣士「・・・・置いて行かれた奴の気持ちは、、残された私たちは、、私たちは・・・・・ぐっ・・・・ううぅ」
暫くの間、辺りは沈まりかえり、女剣士の嗚咽と、他の戦士達の悲痛な空気だけが流れる・・・・。
やがて、吟遊詩人の男は立ち上がると、その場から去って行った・・・・。
老婆「あいつは、それっきり私たちの前に姿を現さなかった・・・・」
老婆の話を聞いたドヴァーキンは吟遊詩人の男がどうなったのかを問う。
老婆「虐殺されたのさ」
老婆「ドラゴンは悪とされていたからね・・・・」
老婆「リュートを壊され、それでも歌をやめず、手拍子でリズムをとりながら、歌い続けたのさ」
老婆「やがて、指をつぶされ、腕を折られても・・・・・」
老婆「それでもあいつは、最期まで歌い続けたのさ・・・・」
老婆
「ドラゴンとそれを護るために戦った男の歌を・・・・ドラゴンと人間が共存してゆけると、歌い続けたのさ・・・・喉元に剣を突き刺されるその瞬間まで・・・・」
老婆「あの男にはあの男なりの、戦い方があったのさ・・・・」
老婆「・・・・あんたも、ゆくのじゃろう?・・・・なら、、」
話をしていた老婆の体が、徐々に透けてゆく・・・・。
老婆「・・・・置いて行かれたことが、、とても、、」
老婆「・・・・悲しくて」
老婆「・・・・悔しくて」
向う側が透けて見えるほどに薄くなった老婆の姿は、最後には若い女剣士の姿になっていた・・・・。
女剣士「わたしは、、いえ・・・・私たちは彼の事が好きだった・・・・」
そういいのこして女剣士は消えた・・・・彼女が消える瞬間、、その後ろには何人かの戦士たちの姿が、確かに見えた・・・・。
その戦士たちが消えるのと呼応するように、、小さな村も、、消えていった・・・・。
最後に残ったのは、廃村となった場所、自分が先ほどまでいた小屋は骨組すらわからないほどに朽ち果て、微かに残る残骸のみをのこすだけとなっていた。
立ち尽くすドヴァーキン・・・・その後ろから不意に声をかけられる。
従者「探すのに苦労しましたよ」
従者「・・・・御一人で行かれるつもりですか?」
振り向くと、そこには置いてきたはずの、従者たちがいた・・・・。
従者「絶対・・・・置いてなんて行かせませんよ」
従者の一人が、歯を食いしばり、涙を浮かべながら真剣な眼差しで見つめてくる。
その瞳を見つめ、後ろにいる他の従者たちを見る・・・・。みなが同じように、それぞれの覚悟と共に、戦う意志を秘めた強い瞳で見つめ返してきた・・・・。
一人の友を救うために、ブレイズ、ストームクローク、帝国、サルモール・・・その全てを敵に回した・・・・そんな自分に最期までついてくるというのだ・・・・。
ドヴァーキンは彼らに背を向けると囁くように言う。
ドヴァーキン「Ahkrin Fahdon・・・・」(アシュキリン・フォハドゥン 勇敢なる友よ)
ドヴァーキン「Aaz・・・・」(アーズ 感謝する)
パーサーナックスのいる道は、グレイビアード達が守ってくれるだろう・・・・。
頂上は彼らに任せて、なるべく少しでもそこに向かう敵を少なくしなければならない・・・・。
その視線が見据える先に、友を殺すために結成された大軍隊の姿が見える。
・・・・天に向かいシャウトする。
ドヴァーキン「Mid・Vur・Shaan!!」( ミド・ヴル・シャーン 戦いの激昂)